子供のお肌というと、柔らかくてプルプルしていると思いますよね。ですが、乾燥肌になりやすいのも、子供のお肌の特徴なんです。
子供の皮膚は大人の半分ほどの厚さしかなく、皮膚のバリア機能も不完全なので
・ 刺激に弱く
・ 乾燥しやすい
のです。
また、乾燥肌の子供さんは、極端に皮脂量が少ないので、さらに乾燥しやすくなります。
肌が乾燥すると、さらに刺激に弱くなり、ちょっとした要因からかゆみを引き起こします。
大人にとってもつらいかゆみですが、子供にとってはもっとつらいもの。
これはなんとか対応しなければならないですよね。
そんなデリケートな子供のお肌を乾燥から守るには、保湿が重要なポイントとなります。
肌の乾燥を防ぎ、肌のバリア機能を保護することが、かゆみを抑えるのに役立つからです。
とはいえ、なんでもつけておけばよいというわけでもありません。
そこでお勧めできる保湿剤が、ワセリンなのです。
『ワセリンが子供にも安心して使える』ということを耳にしたママさんはたくさんいらっしゃることと思います。
では、ワセリンがどうして子供の乾燥肌のかゆみに良いのか。それを詳しく説明するために、
● ワセリンがおすすめの理由
● 使い方と注意点
● おすすめのワセリンはこちら
● まとめ&保湿以外にも気をつけたいこと
といった順序でご案内していきたいと思います。
代われるものなら代わってあげたいけれど、そうもいかない子供さんの肌トラブルについて、少しでもお役に立てたらと思います。
ワセリンがおすすめの理由
赤ちゃんや、小さい子供さんのお肌はとても薄く、刺激に弱いと先に申し上げました。
そこで、なぜワセリンがおすすめになるのか、これをまずは説明していきます。
ワセリンというものはそもそも何から作られているのか
『ワセリンとは、石油から得た炭素水素類の混合物を精製し、脱色したもの』
これは日本薬局方において定義されています。
含まれるのはパラフィンと脂環式炭化水素だとか、とても難しい言葉が並びますが、簡単に説明してしまうと、
『石油(鉱物油)から精製された、油性の保湿剤』
であり、原料は石油です。
原料が石油だとか鉱物油だとか聞いた瞬間、
『え?石油からできてるの?それって肌に悪いんじゃないの?』
と思う方も多いのではないでしょうか。
『だって、私が使ってる化粧品は無添加化粧品で、鉱物油を使っていないものだから安全』だし、
『石油から作られるなんて危険極まりない物質でしょ?』
そうおっしゃる方もおられるはずです。
『うちの子供にそんな石油から作られたものは使えない!天然の馬油とかオリーブオイルを使った方が肌に優しいはず』
そう思っておられるママさんに申し上げます。
『市販されている保湿剤の中で、最もアレルギーを起こしにくいものがワセリンです』
『天然を売りにした植物由来、動物由来の油脂は、アレルギーリスクがワセリンよりもずっと高いです』
これは、単純に成分の複雑さが要因となっているものと思われます。
油脂に限らず、植物エキスなどもそうですが、天然…だから安全とは限りません。むしろ、天然・自然のままのモノのほうが、精製度によっては不純物も多く、お肌にとってハイリスクになる場合が多いのです。不純物ではなくとも、成分が数多く含まれることで、同じリスクが高まります。
(中でも、一般に『有効成分』とされるものが、体質によっては合わないこともあります)
もちろん、ワセリンにも精製度の違いがあり、精製度の高いものほどリスクはなくなります。
(それはおすすめのワセリンの項で、詳しく説明します)
含まれる成分がわりに単純であることは、肌に対する安全性につながりますね。
ですからベビーオイルにも精製度の高い鉱物油は使われるし、ワセリンが肌に良いとされるのですね。精製度が高ければ、酸化による劣化リスクも低減します。
簡単にいうと、ベビーオイルは流動パラフィン、ワセリンはそれが固形状になったものです。
どちらも肌に入り込むことなく、肌の上に薄い膜を張った状態にしてくれます。
これが何を意味するかというと、『肌に保護膜を張って、乾燥を防ぐ』ということなんです。
ちなみに白色ワセリンは、皮膚科で処方される軟膏剤の基剤としても使われています。
保湿剤としてそのまま白色ワセリンが処方されることもあります。
子供さんの乾燥肌からくるかゆみにワセリンがいいとされる理由はこういったことにあります。
● 使い方と注意点
『ワセリンが保湿剤として優秀なのはわかったけど、どうやって使ったらいいの?』
はい、ワセリンには、使い方のコツがあります。
まず、ワセリンという物質そのままでは、固くて肌に伸びにくいです。
特に寒い時期は低温下に置かれるせいもあって、とても固くなります。これは、温めてあげると柔らかくなり、肌に伸ばしやすくなります。
手に取ったワセリンを、両手でこすり合わせるようにすると柔らかくなります。
が、一回一回、ゴシゴシやるのって面倒だし、お風呂上りに全身広範囲に塗ろうと思ったら、これまた大変です。
筆者は生まれつき肌が弱く、アトピーもありますので、なにかと軟膏剤やワセリンは使ってきました。
そこで生まれたアイデアと申しますか、筆者がいつものようにやっているやり方です。
100均で売っているような、旅行などで携帯するのに便利な『クリームケース』を用意します。
そこに1回分で使うワセリンを入れて、しっかりフタを閉めます。
お風呂に1.を持ち込み、入浴します。
お風呂から出るころには、ケースの中のワセリンは柔らかくなっています。(お風呂場は温かいですからね、別に湯船に入れたりしなくても柔らかくなりますよ)
お風呂上りにさっとタオルで体を拭いたら、すぐに2.のワセリンを薄く塗ります。
1回分の量を温めるのがコツです。すぐに柔らかくなるのも理由ですが、
一度にたくさんの量のワセリンを温めて余ってしまったら、その分は劣化しやすくなります。
無駄な劣化を防ぐために、クリームケースへ詰め替えるようにしています。
ワセリンは
・ たくさん使うのは良くない、だから薄く塗るべし
・ 使う量に別段制限はない、たっぷり塗っても問題なし
全く反対の意見が、両方あります。筆者の考えでは
『たくさん使っても別にいいけど、ちょっとくらいたくさん使ったからって、
特に保湿力が変わることもないし、ベタベタするだけだから薄く塗る』
のが正解だと思います。
ワセリンは先にも言いました通り、肌に吸収されることがありません。
だからたくさん使っても悪くなることはそうそうありません。
悪くなることもない代わりに、メリットもありません。ベタベタするというデメリットだけがあります。
ワセリンはボクシングで『血止め』に使われることもあります。
一時的に血を止めたいときにたっぷり塗りつけます。
血を止められるということは、同時に汗腺から出る汗を止めることにもつながります。
これが、『たくさん使うのは良くない』という意見の根拠になっているのだと思われます。
また、アトピーを治すのに有効だという意見もありますが、これは誤解の元になります。
・ ワセリンに薬効はありませんので、アトピーを治す作用はありません。皮膚を保護して、外的刺激から守ってくれる作用はあります。
・ アトピーの中には『熱がこもるタイプ』の皮膚炎があります。こういう症状にワセリンは逆効果です。(さらに熱がこもるので、かゆみがひどくなります)
・ 乾燥からくるかゆみには有効ですが、湿疹からくるかゆみには無効です。
ワセリンの効能は
『皮膚に薄い膜を張ることで、肌を保護し、肌の水分が蒸発するのを防ぐ』
ことに限定されるのです。ここを間違えないようにしましょう。
・ かゆみがひどい、これは何かのアレルギーだろうか。
・ 湿疹が出ていて、ものすごく痒いせいでかきむしってしまう。
乾燥に加えてこういった症状を見つけたら、まずは皮膚科に受診することです。医師に診断を仰いだうえで、乾燥肌への対処法を考えましょう。
● おすすめのワセリンはこちら
『ワセリンって、どこに行けば売っているの?』
ワセリンは薬局、ドラッグストアなどで販売されています。
価格も数百円~となっており、大変安価です。もちろん、皮膚科で処方してもらうこともできますが、ワセリンだけだったら買った方が早いですよね。
ワセリン、探してるんだけど見つからない…とおっしゃる方は、迷わず店員さんや薬剤師さんに聞いてください。
ワセリンを置いていないドラッグストアはまずありません。
ワセリンと言っても、市販品ですら様々なものがあります。
有名どころをあげていきましょう。
・ ヴァセリン ペトロリュームジェリー
・ 日本薬局方 白色ワセリン
・ ベビーワセリン
・ 白色ワセリンソフト
・ プロペト
・ サンホワイト
これらすべてがワセリンです。
ヴァセリンはアットコスメなどで見ても、愛用者がたくさんいらっしゃいます。
ワセリン100%で出来ていますよ…と説明文にあったりしますが、酸化防止剤のBHTが入っている時点で100%の純粋ワセリンと言えるのかどうか…謎です。
ワセリンは不純物が多いほど黄色っぽい色をしており、とても酸化(劣化)しやすいです。ヴァセリンは白色ワセリンに比べ、色が黄色味をおびております。
ということは、精製度が低い…と思われますので、あまりおすすめしません。
日本薬局方白色ワセリンは、どこの薬局でもドラッグストアでも簡単に手に入るワセリンです。
一般的にワセリンというとこれを指すのではないでしょうか。精製度はヴァセリンよりも高いです。
が、酸化しやすいという部分もありますので、大容量を買わないようにしたほうがいいでしょう。
一番小さいサイズのものを買い、早めに使い切ることです。
これは、ベビーワセリンでも同じです。
ベビーワセリンはチューブ入りなので、持ち歩きには便利ですね。
成分は白色ワセリン100%となっているので、品質は日本薬局方白色ワセリンに準じます。
白色ワセリンソフト…というのを見かけますが、これは柔らかくて使いやすいチューブ入りのワセリンです。
柔らかいのは普通の白色ワセリンよりも精製度が高いためだとか。
プロペトは病院で処方されることが多いワセリンです。目などの粘膜にも使えるよう、精製度が高くなっています。それだけ不純物が少ないので、肌に負担が少なくなりますし、酸化による劣化もしにくくなっています。
サンホワイトはプロペトよりもさらに精製度が高く、最高品質のワセリンと言われています。
精製度が一番高いとあって、不純物はほとんどないでしょう。肌が敏感な人には特におすすめするワセリンです。白色ワセリンと比べて、テクスチャが柔らかく、使いやすいのも特徴です。
病院での処方はないようで、市販品を買うのみとなっています。市販品で高品質ということもあり、お値段は50グラムで1000円以上と、かなりお高くなります。
どのワセリンを選ぶかは、肌の敏感度にもよります。
とにかくお肌が敏感なお子様でしたら、サンホワイトをおすすめしたいです。
そこまで敏感ではないけど、乾燥をどうにかしてあげたいのであれば、白色ワセリンでも良いと思います。なにぶん、お値段が数倍ですからね。
● 保湿以外にも気を付けてあげたいこと
子供さんにとっても、ママさんにとってもつらい乾燥かゆみです。
ワセリンを使った保湿&保護で、少しでも早く改善できるといいですね。
…と、いいたいところですが、お肌を守るためには保湿さえしていれば充分…とは言えません。
お肌を乾燥させないための工夫や、お肌にとっての環境をよりよく整えてあげる必要があることをしっかり考えてあげましょう。
特に冬場ですが、長時間の入浴はお肌を乾燥させます。皮脂が流れてしまうことでお肌のバリア機能も壊れやすくなり、肌の角質層にある(肌の水分を保つための)細胞間脂質や、天然保湿因子が流出してしまいます。これが、肌を乾燥させ、敏感にしてしまうのです。
脱脂力の強い石鹸、ボディーソープを使うと、肌が乾燥します。皮脂が少ない乾燥肌のお子様にはアミノ酸系洗浄剤を使ったボディーソープをおすすめします。(ミノンなど)
エアコンなどの影響で、空気が乾燥しているときにはお肌も乾燥します。
加湿器などを使って、お部屋の湿度をキープしましょう。
アレルギーがある場合は、ハウスダストや花粉、カビなどが肌の外的刺激になります。
ワセリンや保湿剤を使っていると、これらのホコリが肌に付着します。
保湿することで肌を守る反面、アレルゲンとなる物質が肌に付着しやすくなるのも事実です。
お部屋を清潔に保つようにしてあげましょう。
洗濯洗剤が衣服に残留していると、それが肌トラブルの原因になることもあります。
しっかりすすぎを行うのはもちろん、洗剤にも気を使ってあげましょう。
柔軟剤の使用はできる限り避けてあげてください。
ほかにもお子様によっては、『肌トラブルの元』がいろいろあります。
わからないことも多々あると思いますが、症状が治まらない時は皮膚科への受診をお忘れなく。
子供さんたちが楽しい毎日を送るためにも、適切なケアをしてあげましょうね。
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